緊急事態宣言下の病院で考えたこと

JUGEMテーマ:病院へいこう!

 

(Photo: ゆちくん)

 

コロナ禍中での入院

 

まだ首都圏が緊急事態宣言下にあった5月末、とある病気と診断され、6月に急ぎ入院し手術を受けることとなった。新型コロナウイルスの感染が世界中に広がる中、東京都内の病院に入院すること自体に不安を感じたことは否めない。しかし主治医の先生の「早く手術した方が良い」との言葉に従い、気持ちの整理も十分につかぬまま、入り口に大きく「コロナ感染防止のため面会禁止」と書かれた病院の玄関をくぐって入院し、様々な検査の後に人工呼吸器とたくさんのチューブや機械につながれて手術を受け、目覚めたあとは翌日から痛みと共に歩く練習を始め、やがて帰宅の途についた。

 

受診控えによる病気の悪化

 

この数ヶ月、新型コロナウイルスへの感染を心配して病院へ行くことをためらった人は多い。血糖トレンド委員会の調査によると、高血圧や糖尿病、高脂血症などの生活習慣病を持つ患者の2割がコロナ感染を恐れて通院を自粛し、約45%が今後の通院に不安を感じている。私が入院中に出会った患者さんの一人は、3月以降に我慢できないほどの胸の痛みが続いたがコロナ感染が不安で病院を受診できず、病気の発見が遅れ治療が困難になったと語った。コロナ感染への不安や、医療体制が逼迫する中で病院に迷惑をかけるのでは、と心配して患者が受診を控える傾向は欧米を含む海外でも報じられており、特にがんや糖尿病をはじめとする慢性病患者の病態悪化が報告されている。

 

病院は安全か

 

私が入院していた都内の病院には、毎日緊急の患者さんが次から次へと運ばれて来た。病院と長いお付き合いをされて来たベテランの患者さんが多く、私のように診断されたばかりの方は一名を除いては出会わなかった。受診控えによる治療の遅れが患者の健康に与えた影響については、公式統計が発表されていないので具体的な状況を知ることはできない。しかし、PCR検査へのアクセスと各地・各施設での感染状況についての情報公開が限られることが受診の際の不安に繋がっていることを踏まえると、(病院レベルでは院内感染防止のために万全を尽くしているとしても)行政の立場から改善すべき点は多い。

 

日本国内の感染状況についても、もっときめ細かく病院や介護施設など特に感染の影響を受けやすい施設、留置場や刑務所などの密が発生しやすい施設の感染状況を定期的に把握して、高い感染率となった場合は公表すべきだろう。受診や入院の際のコロナ感染の有無に関する確認は検温や自己申告が中心で、私自身「もし自分が感染していたら先生方や他の患者さんに迷惑をかけるかもしれない」と考えて心配になった(結果的には問題なかったが)。

欧米では医療統計を管轄する公的機関が地域別の感染率を発表し、貧しい層がコロナ感染の影響を大きく受ける傾向を指摘している。保健所の逼迫が指摘される中、きちんと統計を取って分析・公表する体制についても強化が求められている。

 

PCR検査と情報公開で、必要な時に受診できる体制づくりを

 

7月、気がつくと新型コロナウイルス感染症対策専門家会議は解散され、新型コロナウイルス感染症対策分科会が設置されている。感染症対策の基本は、検査で感染を把握し的確な対策を取ることに尽きる。様々な病気と共存しながら暮らす慢性病患者が安心して病院に行けるよう、公衆衛生の専門家は責任を持って発言してほしい。的確な判断と細やかな配慮でこの難局を鮮やかにさばいてくださった医師と看護師の皆さま、支えてくれた周囲の人に心から感謝しつつ、必要な時に必要な手術を受けることができて本当に良かったと感じている。

 

<参考>

血糖トレンド委員会「新型コロナウイルスがもたらした健康への気になる影響」2020年6月19日https://kettotrend.com/pressrelease/pdf/Ketto-Trend-Survey-Corona.pdf